[3550] 数字って難しい 投稿者: 投稿日:2003-07-23 (Wed)
■世界PDA市場、出荷台数10.7%減(ZDNN)
“IDCによれば、4〜6月の世界ハンドヘルド出荷台数は、法人およびコンシューマーの需要低迷により前年同期比10.7%減の2270万台となった。4〜6月の需要低迷は例年のことだが、PDA市場はここのところ一貫した下落傾向が続いている。1〜3月期との比較では約21%の減少だ。”
いつも謎なんだけど、法人需要ってそんなに伸びてたんだろうか?なぜだか、PocketPC陣営のシェアが落ちるたびに法人需要が伸びない伸びないっていつも言われるんだけど、法人需要って、いつも「もうすぐ」「まもなく」って言ってたままな気もするんだけど…。ま、そんなことよりも同じ記事にある需要低迷の理由の方が納得できる。いわく、“アナリストは、需要低迷が続いている原因として、技術革新の欠如から製品のリーチ拡大が抑えられ、従来からの一部ファン層を超えたユーザー基盤の拡大が見られないことを挙げている。”…そういう意味では、先日のソニー社のPEG-UX50みたいな挑戦って、それなりに意味のある挑戦だと思うのだがどうだろう?
さて、市場シェアは以下のような状況らしい。
“【世界PDA市場 2003年度4〜6月期】…合計227万台
1)Palm(39.9%)…90万3096台
2)Hewlett-Packard(16.8%)…38万1360台
3)SONY(11.3%)…25万6510台
4)Dell(6.7%)…約15万2090台
5)東芝(3.3%)…約7万4910台”
…ということで、Palm+SONYのPalmOS陣営の市場シェアは、51.2%(約116万台)ということで、その他の弱小ライセンシーを抜いた状態でも過半数を相変わらず占めている。PocketPC陣営は上位3社を合わせてもまだ、Palm一社に及ばないシェア(26.8%=約60万台)だ。ちなみに、Dellと東芝を合わせても
…と、書いてから恐ろしいことに気づく!元記事を見てもらいたい。
“4〜6月の世界ハンドヘルド出荷台数は、法人およびコンシューマーの需要低迷により前年同期比10.7%減の2270万台”
これは絶対に、2270万台じゃなくて、227万台の間違いだよね!4〜6月期に2270万台も売れてたら、1100%増のはずだぞ!違う?元記事の元記事(英語)を見ても…“2.27 million units”とあるぞ。(笑)
なお、上位三社については…
“Palmは4月後半発売の「Zire 71」が好調。HPも、299ドルのiPAQ H1910と6月発表の新モデル5種がシェア拡大に貢献した。ソニーのCLIEは3月投入モデルの販売が予想を下回ったという。”
…だそうだ。
ところで、この記事と真っ向から対決するような記事も出ていたのには驚いた。
■ヨーロッパでハンドヘルドの需要が急増(Palmfan)
“Brighthand「Sales of Handhelds Surge in Europe」が,マーケットリサーチ会社「Canalys」の調査結果からとして,世界のハンドヘルド需要が再び上昇傾向にあることを伝えていました。Canalysによれば,ヨーロッパ/ミドルイースト/アフリカの各地域において,今年の4月〜6月にかけて出荷されたハンドヘルドは62万8000以上で,これは昨年同期の41万5000を大きく上回る結果となっています。”
微妙な言い回しだけど、上のZDNN記事(出荷台数をちゃんと修正した前提で!)と矛盾してるよね、明らかに!BrigthandがCanalysのデータを元にしたによる元記事はコチラ。
参照●Sales of Handhelds Surge in Europe(Brigthand)
上のZDNNの記事とCanalysの記事では、おそらく扱っているカテゴリも微妙に違ってる可能性もあるので、一概にはまとめられないが、全世界で227万台売れてて、欧州/中東/アフリカ地域で63万台しか売れていないんだね。残る北米/南米/アジア/太平洋地域で164万台も販売している勘定になる!どうやら、ヨーロッパではかなり数字が伸びているらしい。つーことは逆に言うと、北米/南米/アジア/太平洋地域は落ちまくってると!こっちの方が欧州/中東/アフリカ地域の伸びより、普通は深刻だよね!
でもって、そんな欧州/中東/アフリカ地域での市場シェアは以下の通り…
“【欧州/中東/アフリカ地域のPDA市場 2003年度4〜6月期】…合計62.8万台
1)Palm(34%)…18万4706台 ※出荷量45%増!
2)Hewlett-Packard(25%)…15万7000台 ※出荷量2%増
3)Medion(8%)…5万240台
4)SONY(7%)…4万3960台 出荷量64%増!”
ところで、欧州といえばこんな記事も!
参照●MS、欧州スマートフォン市場ではニッチ(ZDNN)
“9カ月前にスマートフォン用ソフトに参入したMicrosoftだが、これまで欧州、中東、アフリカ地域で獲得したシェアはわずか5.9%。”
かなり苦労してるな〜と思う。“残る約94%の携帯電話には、Symbian製のソフトが搭載されていた。”
ところが、この記事は上のBrighthandと同様にCanalys調査をベースにしているはずなのに、微妙な言い回しが登場する。
“この売上の伸びは、主にPDA市場でのシェア拡大によりもたらされたものだ。この市場ではHewlett-Packard(HP)やDell Computerのデバイスに、Microsoft製ソフトが採用されている。canalysの調査によると、4〜6月期にEMEA地域で出荷されたPDAのうち、53%にMicrosoftのソフトが搭載されており、42%にPalmのソフトが採用されていたという。Symbianのソフトはこの市場ではほとんど使われていない。しかしアナリストは、Microsoftにとっては、PDA市場よりも大きくなると見られるスマートフォン市場に進出する方が重要だとしている。”
どう見てもCanalys調査を元にしたBrighthandの記事では、出荷量45%増と同64%増のPalmOS陣営が伸びまくっており、出荷量2%増のHP社なんて数字を見ると、PDA市場ではあまり伸びていないようにも見えるのだが、出荷量はそれほど増えてないけど売り上げだけは伸びたってことなのか?…う〜む、数字って難しい!